ぶさうさブログ

兄を亡くした自死遺族、FTM夫の妻の立場がメインのブログです。時々ねこさん、映画、漫画、本、アドラー心理学(勉強中)、ダイエット、ギター(初心者)など。

突然いなくなった兄④


突然いなくなった兄③
の続き






兄が10日間ほど無断欠勤をしていると実家に連絡が来てから、東京の兄のアパートに母と駆けつけ、不動産屋に事情を話し鍵を借り部屋にも入った。




部屋には兄は居なかった。




結局その日は会えず終いで私と母は新幹線で帰った。





帰る前に

母と私は手紙を書いて、ポストに入れた。



「母さんに心配かけたらいかんよ」
みたいな事を私は書いたと思う。





私はその日、兄の部屋を物色して気になったことがあった。


冷蔵庫の中身を見たとき、ヨーグルトの賞味期限がその日から2週間ほど前だったこと。



ロフトに布団があり、枕元に携帯電話が3台あって、全部電源がオフになっていたこと。
(その時使っていたものか、前に使っていたものかが分からなかった。)
もしこの中のどれかは使っていたのなら、置いて行ってしまったのか?と直感した。



その時一緒に部屋に入った兄の会社の上司が、
「メーターは動いてるから、帰って来てると思いますよ。」
と言っていたけど私は
「本当かな?冷蔵庫も動いてるし誰も居なくても動くんじゃないかな?」
と思ったこと。





その上司の人は私たちを安心させるためにそう言ってくれたんだろう。


毎晩仕事終わりにノックをしに来ている、とも言っていた。




母はその上司の人の言葉にすがる思いだっただろうから(当たり前だよね)、私の気になったことは一切母には言わなかった。


父にも姉にも友達にも言わなかったと思う。








その約1か月後に、東京とも地元とも離れた所の警察から実家に電話がかかる。





兄の「遺体が見つかりました」と。







東京に行った日からこの日まではもう記憶がありません。



私と父と姉はいつものように働きに出ていて、母は暗かったと思う。





電話がかかったのは17時~18時くらいの時間帯だったかな。



電話は母がとり、すぐに取り乱した。




「嘘でしょ?!嘘でしょ?!!」



とパニックになっている姿はよく覚えている。




私は同じ部屋に居たけど、相手の声は聞こえなかったが、想像はできた。



お風呂に入っていた父が出てきて、母と電話を代わった。





私は
「冷静でいないと。」
と思ったり
「直感が当たってしまった。」
と思ったりしていた。




これは現実かな?



なんなんだろうこれは?



そんなことを思うばかりで



「悲しい」とか

「嘘だ!」とか


言わなかったし取り乱しもしなかったと思う。


まず実感がない。



ただただ平静を装うことに必死だった。



こんな時まで私は父と母の出方を伺って、自分の気持ちは後回しにしていたのはよく覚えている。



続く